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May 18, 2023

P&G Academy Student Interview: Kano Kishizawa, Representative Director of Toyo Trading

P&G Academy 受講生インタビュ –
トウヨウ貿易 代表取締役 岸澤可乃

ジェンダーギャップ指数は世界116位(※1)、日本企業全体の女性社長比率は8.2%(※2)と、日本の経営の世界はまだまだ男女平等にはほど遠い。日本の女性起業家が事業を拡大し、グローバルなサプライチェーンに参入する機会が十分にない現実を背景に、P&GジャパンとWEコネクト・インターナショナルは、2021年から毎年「P&G Academy for Women Entrepreneurs」(以下、P&Gアカデミー)を共同開催しています。

3年目となる今年は、2月にキックオフセッションを開催し、2カ月間にわたり、P&Gジャパンの経営陣をはじめとする各業界のリーダーが、リーダーシップ、マーケティングコミュニケーション、クオリティとインクルージョンの推進など、組織の成功や成長に役立つビジネススキルのヒントを提供するアカデミーとなります。
今回より、昨年の参加者である3名の女性経営者の皆さんからの、P&G Academyへの感想やその後の近況についてのインタビューを順次お届けします!第1回目は、株式会社トウヨウ貿易 代表取締役 岸澤可乃氏です。

※1 2022年基準

※2 帝国データバンクの全国「女性社長」分析調査 2022

株式会社トウヨウ貿易

代表取締役 岸澤 可乃 氏

父の経営を支えながら独自で起業に挑戦、国際色豊な会社に成長

私が経営する株式会社トウヨウ貿易は、工場で不要となった機械を仕入れて国内転売や海外輸出をするほか、取引先の海外機械商社で不具合を修理し、ペインティングしてリユース販売しています。建機や重機も取り扱っていますが、主たる事業は中古機械販売です。

仕入れ先は大きな自動車メーカーや町工場などが中心で、販売先の多くはベトナムなどの東南アジア諸国です。海外とビジネスをしているので、当社ではスリランカ、インド、タイ、台湾などの海外出身者も多く働いています。その国々との縁を利用して、各社員の自国の商品を仕入れて日本で販売する事業や、海外人材紹介業などにも取り組んでいます。

工場からトウヨウ貿易が仕入れている機械など)

もともと、父がタイやフィリピンなどに産業用機械を輸出する会社を経営しており、私はその背中を見て育ちました。社会人になって父の会社の経理を手伝うようになると、「自分だったらこうするのに」「こんなこともできるのでは」など、さまざまな思いを抱くようになりました。そこで、父の事業をサポートする傍ら、自分でできることがあればチャレンジしてみようと、父の取引先では売れない機械を別の国の会社に売ってみました。さらに、日本で働いてみたいというベトナムの若い女性に現地で出会い、採用することに。これが私の会社設立のきっかけとなりました。それ以来、15年以上にわたって経営を続けています。

メモをとるのに必死になったP&Gアカデミー

P&G Academyは、知人の女性社長からお声がけいただいて知りました。大企業の考え方や取引の流れなどを中小企業が知る機会はなかなかないので、良い機会だと思い応募しました。

実際にアカデミーの講義を受けてみると、「エンゲージメント」「ダイバーシティ」「RFQ」など、初めて聞くワードばかりで戸惑いました。中小企業では、大企業で日常的に使われている言葉や考え方とは縁がないことも多々あります。ですから、講義中は必死にメモを取り、講義が終わってから意味を調べるということの繰り返しで、ついていくのが大変でした。

でも、どれも経営に重要なことばかりで、知らなければ今でもスルーし続けていたと思うと、勉強できたことはとてもよかったです。4C分析、目的の明確化、ブランドビルディングなど、アカデミーで学んだことで実践できることはすぐに実務に取り入れ、今でも継続しています。

私たちの仕事は、お客様の工場が稼働していない土日に作業になることも少なくないのですが、個人に管理を任せておくと、社員たちは真面目なのでその代休を取らずに働き続けて自らストレスを溜めてしまいます。また、外国人の取引先は時間に対する考え方が日本人と異なるため、一つ一つの仕事にはっきりと期限を決めるなどの工夫が必要です。さまざまな文化的背景をもつ社員とともに働いていることもあり、アカデミーのマネジメントに関する講義から学びは多くありました。

また、アカデミーで女性経営者の皆さんとの繋がりが広がったことも良かったです。コロナ禍だったためアカデミー自体はオンラインでしたが、卒業してから、アカデミーで知り合った皆さんと会って食事をするなどと交流が今も続いています。今年は一部がオフラインになるようなので、より強い横の繋がりが期待できるのではないでしょうか。

女性ならではの視点と経験で、次の世代に繋いでいきたい

ここ最近、工場の現場はだいぶ綺麗になり、無骨な男の世界という昔ながらのイメージから少しずつ変わってきています。でも、この業界でまだまだ数少ない女性の視点から見ると、さらに変えていける点がたくさんあると感じます。たとえば、作業着やヘルメットといったパッと目につくところも、もっと自由でいいのではないかと思うのです。私はお客様の工場を訪問する際にピンク色のヘルメットを着用するなど、私なりに現場でのオシャレを楽しんでいるのですが、そのような人や会社が増えれば工場のイメージはもっと明るく楽しいものになっていくと思います。このような提案ができるのは、女性である私の強みの一つだと思っています。

私は機械を見ることが大好きで、この仕事を楽しんでやっています。そのような女性は珍しいと思われるかもしれませんが、意外とそんなことはなく、工場見学が好きな人や、工場夜景を見るのが好きといった人は女性の中にもたくさんいますよね。そういう女性たちにもっと開かれ、楽しく生き生きと働ける業界にしていきたいです。

(東南アジアの国々で社員や取引先の方々と社員旅行で社員のご家族も一緒に)

業界に関わらず、若い女性たちから、やりたいことを実現するにはどうしたら良いか、どのように会社を興したら良いかといった相談を受けることが多々あり、多くの女性たちが経営にチャレンジしたいと思っていることを実感しています。ぜひ、若い人たちにその夢を叶えてほしいし、チャレンジする人が増えていってほしいです。今後は、長年経営者として経験を積んできた女性経営者の仲間たちと手を取り合って、次の世代を導き応援していくような活動ができたらいいなと思っています。